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サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会は13世紀に創設された非常に古い教会です。15世紀に建築家ミケロッツォによって再建され、幾度となく改修工事を重ねましたが、16世紀以降は、ほぼ現在の外観を保っています。聖母マリアをあつく信仰する信者によって愛されるこの教会は、捨て子養育院(Ospedale degli Innocenti)と同様、サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場に面し、美しい空間づくりに欠かせない建物のひとつとなっています。フィレンツッを訪れられる際には是非、足を運んでみてください。(夜間は少し治安が悪いので午前中をお勧めします) 教会内には、多くの著名な画家の作品が納められています。中でもアンドレア・デル・サルト、ポントルモ、ロッソ・フィオレンティーノ、アンドレア・デル・カスターニョのフレスコ画はイタリア壁画史上でも重要な作品です。それらの作品と比較すると、現在修復中であるアレッサンドロ・アッローリのフレスコ画は余り知られていません。彼の作品は教会内左翼廊に面するサン・ジローラモ礼拝堂にブオン・フレスコ技法によって描かれています。 アッローリは1535年にフィレンツェに生まれ、その後ローマに移り画家としての腕を磨きました。その頃のローマといえば、日本でも有名なミケランジェロがシスティーナ礼拝堂を描き上げ、その名を世間に轟かせていました。アッローリもその技術に多大な影響を受け、勉強に励んだそうです。1560年、生まれ故郷のフィレンツェに戻った彼は、画家としての本格的な活動を開始します。そして、29歳という若さでこのサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会のサン・ジローラモ礼拝堂の壁画を仕上げたのです。 このモンタート礼拝堂のフレスコ画をよく観てみると、ところどころミケランジェロの作品にとてもよく似ています。それもそのはず、アッローニはミケランジェロがシスティーナ礼拝堂の最後の審判を描く際に使ったデッサンを持ち帰り、そのまま使用したのです。この行為に関しては、ミケランジェロ自身からの了解を受けていたとの話もあります。それだけ、この2人の間にはある種の子弟関係があったのではないかと想定できます。アッローリはミケランジェロに敬意を払い、この礼拝堂に彼の肖像画を描いています。 ミケランジェロのスタイルに似てますよね 何処にミケランジェロが描かれているでしょうか? 少しはサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会に足を運んでみたくなりましたか?だったら嬉しいのですが…。 #
by affresco-bastioni
| 2006-03-12 08:30
| 修復家の独り言
2006-3-2の「修復学校の授業」で少し紹介した蒸留水を使っての洗浄作業を、もう少し詳しく説明したいと思います。今回は細かく砕かれたセルロースに蒸留水を含ませたパック法を用いて行いました。 まず、洗浄したい部分を選び正確に和紙を蒸留水で貼付けます。これには、洗浄作業の効果を画面均一に行き渡らせることや、パックを剥がすことを容易にするなどの意味合いがあります。 きっちりと和紙の貼付けができたら、先程説明したパックを施していきます。この作業は手を使って行うのですが、出来る限り均一の厚みになるように注意して行います。そして、反応が十分に起こるまで放置するのですが、今回の放置時間は1時間。次第にろうそくの煤や表面の汚れが柔らかくふやかされていきます。 1時間後、端から少しづつ、パックを剥がしながら、細い棒の先に巻き付けた綿花に蒸留水を含ませたもので、圧力をかけすぎないように注意しながら、丁寧に柔らかくなった汚れを除去していきます。 まだ薬品を使った洗浄作業は行っていませんが、その絶大なる効果を確認していただけると思います。この場合、過去の修復で手を加えられた加筆部分も除去され、オリジナルのラインがあらわになりました。 洗浄作業前 洗浄作業後 これでも十分に綺麗になったように見えますが、まだまだ表面には強くこびり付いた汚れが残っています。今後、作品が生きてきた時間を考慮しながらの洗浄作業が行われる予定です。その時はまた、作業の経過をアップしたいと思います。 フレスコ画修復のみならず、全ての修復分野に共通していえることですが、大切なのは作品に負担をかけないよう心掛けること。できる限り優しい手法で、かつ良い効果が得られるものを的確に選べる目を持つことが重要といえます。 #
by affresco-bastioni
| 2006-03-09 20:00
| 修復家の独り言
今日から急遽、先日「イタリア壁画修復事情」2006-2-26で紹介したウイア美術修復学校"Universita' Internazionale dell'Arte"の教員として、フレスコ画修復現場を指導することになりました。別にだからといって学校を紹介したのではないのですが…(笑)凄い偶然で、正直自分でも驚いています。 現場は、フィレンツェの中心街(ドゥオーモを基準として)からやや北に位置する場所にあるサンティッシマ・アンヌンツィアータ (Santissima Annunziata) 教会内の左側廊に接する礼拝堂、1500年代にブオン・フレスコ法で描かれた素晴らしい壁画で埋めつくされています。描かれているフレスコ画作品にたいする作家・歴史などについての説明は、あらためて詳しくしたいと思います。 現在、この現場で実践的に授業を受けているのは、修復学校3年目の生徒6名。みんな基礎はしっかりしていて、現場での指導もやりやすく、安心しました。修復が始まったのは今から1年前。最初は天井部分に集中して作業を開始したとのことで、現在では若干の補色作業を残すのみとなっています。 今日の作業で重点を置いたのは、礼拝堂内側面の洗浄作業。と、言っても正確には、本格的洗浄作業を行うための準備に当たります。蒸留水を用いて、フレスコ画表面に付着したろうそくの煤や汚れを除去していきます。(今回は細かく砕かれたセルロースに蒸留水を含ませたパックを用いる方法がとられました。同じ作業でも何種類もの技術があり、壁画の状態によって選択は異なります。)この作業を怠ると、薬品を使って洗浄作業を行う時に、化学反応がきっちりと起らなかったり、汚れが壁の中に染み込んでしまったりする恐れがあります。だからみんな(私も含めて)真剣そのもの!集中して壁に向かっていました。 しかし、直接、壁に触れて実感しましたが、本当に美しいフレスコ画です。これから、本来の輝きを取り戻して行く姿をみていくのがとても楽しみです。みなさんにも定期的に、分かりやすく修復技術なども交えながら御報告していきたいと思います。お楽しみに… #
by affresco-bastioni
| 2006-03-02 22:00
| 修復家の独り言
今日は私が所属する文化協会、バスティオーニが活動を行う工房をちょっと紹介します。この文化協会は各分野の修復家が集い、修復の分野への理解を深めていこうという目的のもと、去年設立されました。フィレンツェの代表的な橋、「ポンテ・ベッキオ」を渡り、ミケランジェロ広場に向かう途中にある「サン・ニコロ」という地区にこの工房は位置します。この地区には様々な分野の職人が個人工房を経営していて、仲間内では「職人通り」と呼んでいます。 今日のポンテ・ベッキオ。一年を通して賑わっています。 現在、文化協会には絵画修復家、壁画修復家、絨毯修復家、陶器修復家、美術史家などが所属しています。ですから、工房内は常に数多くの美術品で埋め尽くされており、時には身動きひとつとるにしても、とても気を遣うときがあります。今日撮影した工房の風景を御覧下さい。 個人的にはこの環境がとても気に入っているのですが、その大きな理由として所属する修復家の間で様々な情報交換が簡単に行えるということが挙げられます。これはどの国でも言えることですが、各修復機関(工房)が学閥、技術・情報流出を気にするばかり、秘密主義的な傾向にあります。しかし、互いの技術向上、修復に対する理解を深めるという意味では、修復家同士のあいだにもっと緩和された交流があってもいいのではないでしょうか?それが、手探りの修復、型にはまり過ぎた偏った修復へと向かう危険性を回避する解決策に繋がるのではないかと考えるからです。「私達、修復家の本来の目的は何なのか?」常に見失わずいつづけたいものです。 #
by affresco-bastioni
| 2006-03-01 20:30
| 修復家の独り言
私が初めて壁画修復を学んだ学校を紹介します。 正式名称 "Universita' Internazionale dell'Arte"、通称"U.I.A" -Universita'- とは、イタリア語で -大学- を意味しますが、別に大学機関ではなく、日本でいう専門学校にあたります。フィレンツェの中心街からは少し離れたサン・ドメニコという街の近くに位置し、もともとお屋敷だった建物を買い取って現在の修復学校が誕生しました。 最近では、「イタリアで壁画修復家になるには」でも書きましたが、法律の変化により大学方面に修復の道を求める人が増え、生徒数は減っていっているようです。しかし、修復の基礎知識を学ぶという意味では、教師陣もカリキュラムも充実していますので、安心して学ぶことができます。(少なくとも私は大満足でした) 主に、絵画修復コース、壁画修復コースが充実していて、どちらも2年間のコースです。そして、さらに教養を深めるために1年間の特別コースが設置されています。その他にも、保存修復学や博物館学などを学ぶことができますので、詳しくはホームページを御覧下さい。 少し高台に位置するこの学校。通学路にはかなり急な坂があり、到着した頃にはぐったりしていた記憶がありますが、そこからの景色は格別でフィレンツェのドゥーモもみえます。美しく恵まれた環境で、じっくり修復を学んでみてはいかがですか? #
by affresco-bastioni
| 2006-02-26 05:57
| イタリア壁画修復事情
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