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日本では「修復」という言葉を聞くと、油絵の修復や紙の修復を思い浮かべる人が多いかと思われます。日本では壁画自体が殆ど存在しないこともあり、まだまだ壁画修復という分野への認識は一般的に低いです。 一方、イタリアをはじめヨーロッパ各地では街のあちらこちらで壁画を目にすることができます。それは教会内に描かれた宗教画から、民家に描かれたデコレーションに至るまで幅広く、人々の生活と強く密着しています。 このような状況ですから、連日修復を待つ作品が後を絶ちません。では、仕事が溢れていて、ありとあらゆる作品を次々に修復していけるのかというと、そういうわけではありません。 なぜならば、壁画修復には莫大な費用と時間が必要とされるからです。結果的に優先されるのは有名な画家の手掛けた作品や美術史家に重要と認められた作品のみとなります。脚光を浴びる事のない多くの不運な壁画は、無情にも崩れ落ちて行っているのが現状です。 また、作品の所有権が国や市にあるものと、個人のものとでは、作品の運命に大きな差がでてきます。個人所有の作品の場合、国からの援助金や銀行などのスポンサーがつく事はほとんどなく、基本的には所有者が実費で修復にかかる費用を賄わなければなりません。 つまり、一見、壁画に溢れているイタリアのような国でも厳しい現実があるのです。 こういった事実は私達、壁画修復家にも大きく影響してきます。特に、フィレンツェやローマのように世界トップレベルの壁画作品数・修復技術を誇る街では、修復家の数も非常に多く競争が激しいです。ひとつの仕事を得る際にも厳しい入札権争いが繰り広げられます。 そして何より、個人の持つ能力が大きく問われるのです。能力と一言で言っても、修復技術だけを指すのではなく、性格や忍耐力など多くの意味合いがあります。 壁画修復は他の分野の修復とは大きく異なり、大人数での共同作業が殆どです。ですから、チームワークが命で、お互い信頼しあえる人間関係がないと良い仕事が出来ません。 技術レベルはもちろんですが、自己中心的な性格だったり、時間にルーズだったりすると次の仕事がなくなってしまいます。 また、基本的に壁画が描かれている現場に赴き、その場で足場を組んで作業しなくてはなりません。 ほこりにまみれ、砂や消石灰などの重い技材を足場の上へ下へと運ぶ重労働です。また、歴史建造物の多くは古い石造りの建物であるため、冬は寒く夏は暑いという過酷な環境のもと仕事をしなくてはなりません。 始めたものの、その過酷さゆえ長続きしない人が後を絶たないのもやむを得ません。 技能のみならず、壁画修復への深い理解と情熱、過去の美術作品への敬意と強い精神力を維持できることが、優秀な修復家の必須条件となります。 一見、華やかそうなイタリアの壁画修復の世界ですが、上記のような厳しい現実があります。 しかし、壁画を愛する者にとっては、これ以上の素晴らしい環境はないと言えるでしょう。
by affresco-bastioni
| 2006-02-26 01:00
| イタリア壁画修復事情
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