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今回は1500年代中頃から1600年代にかけてフィレンツェを中心に活躍した画家(通称)Poccetti -ポッチェッティ- (本名:Bernardino Barbitelli -ベルナルディーノ・バルビテッリ-)の壁画修復を紹介します。ポッチェッティはフィレンツェの郊外にある、『そびえ立つ高い塔』で有名なサン・ジミニャーノという街に1553年に生まれた画家で、亡くなる1612年までの59年間数々の作品をフィレンツェを中心に残しました。フィレンツェを観光で訪れた方は、サン・マルコ修道院の回廊で彼の作品を無意識のうちに鑑賞されているかもしれません。日本では余り知られていませんが、フィレンツェの壁画修復家の間ではその名を知らない人はいないというほど有名です。 現在修復中のポッチェッティの作品は、フィレンツェの中心街から少し外れた場所にあるチェステッロ神学校(Seminario arcivescovile Cestello)の校内にあります。もともとこの建物は1784年まで修道院として利用され、フレスコ画はその大食堂であった部屋(現在は学校の講堂として利用されています)に描かれています。作品のテーマは、”砂漠における断食後のキリストの晩餐” で大きさは縦6m×横13.5mあります。ブオン・フレスコ技法により巧みに描かれた作品は保存状況も良く、ポッチェッティが亡くなる1〜2年前に描いたというだけあって熟練の画家の筆遣いが見受けられます。確かに間近で観ると一見荒々しいのですが、2・3m離れると何とも見事な深みと透明感ある色彩効果を発揮します。これぞフレスコ画の醍醐味と言えるでしょう! 現在修復作業は洗浄作業が終わり、壁体内補強作業と化粧漆喰を施す作業に入っています。ですから作品はポッチェッティ独特の鮮やかな色彩表現と輝きを取り戻し、何とも美しい空間が眼前に広がっています。この作品は、過去の修復で加筆やベベローネと呼ばれるニスのようなものが施されており(1800年代には修復作業の一環として、多くの壁画作品にカゼインや卵・膠から形成されたベベローネと呼ばれるの液体が油彩画のニスのように掛けられました)、洗浄作業前にはそれらが茶褐色に変色して作品鑑賞が困難な状態になっていました。今後の作業工程としては壁体内補強・化粧漆喰作業後、現在テストを行なっている水酸化バリウム壁画表面補強作業から好ましい結果が得られれば画面全体に施し(しなくても十分安定した状態ですが、美術監督局より要請が入っています)、最終段階の補色作業に入って行きます。 残念ながらこの施設は一般には公開されておらず鑑賞はできませんが、フィレンツェにはマサッチョやフラ・アンジェリコ、ギルランダイオ達以外にも、”ポッチェッティ”という優秀な壁画家が存在した事を知っていただければと思います。また機会がありましたらこの修復作業工程の詳細をご紹介したいと思います。
by affresco-bastioni
| 2007-03-08 16:54
| 修復家の独り言
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