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8月末に始まり、2010年8月15日の記事、"憧れのペルジーノ!!" でも御紹介させていただいた、ピエトロ・ペルジーノ "Pietro Perugino" 作のフレスコ画 『キリストの磔刑』 "Crocifissione" の保存管理。作業も終盤を迎えております。 今回は『保存修復』ではなく、『保存管理』という形での作業を行なっています。通常の保存修復と大きく違うのは、「現状維持する事を前提に、作品全体のコンディションチェックに重点を置く」という点です。私達人間に置き換えて言うならば、健康診断と同じでしょうか。この作品はフィレンツェ大洪水直後の1966年〜1968年に大規模な修復が行なわれています。それから約40年が経過した現在、新たな問題が起きていないかを壁画の隅々まで診断するというのが主な目的です。作業の全体的な流れとしましては、『1.作品状態の徹底した記録』(写真撮影・描画技法の再確認・劣化部分の記録)、『2.剥離部分に対する処置』、『3.表面に付着した埃の除去』、『4.進行が心配される亀裂部分への処置』、『5.補色作業』です。現在はこの4番目と5番目の段階に入っています。 今回、間近で壁画を観ていて一番驚かされたのは、ペルジーノのフレスコ画制作技術レベルの高さ。技法として完璧と言っても過言ではないと思いました。フレスコ画を描く上で一番難しいとされる筆遣いひとつとってみても、その無駄の無い制作スタイルには溜め息が漏れるばかり。あくまで私個人が受けた印象ですが、余りにも巧みに描かれ過ぎていて、美術作品を鑑賞するうえでの面白味・メッセージ性は薄く感じてしまいました。 "アーティスト" というよりは "絵描き職人" という言葉がしっくりくる様な。。。そういった意味で、彼の弟子ラファエロは一つ壁を越えたアーティストへと成長を遂げたのではないかと思す。師にペルジーノを持ったラファエロは本当に幸せですね。 話しを戻して、壁画に対するこの『保存管理』というシステム。他の国々では古くから適用しているところも多く、私自身イタリアにこの管理体制が敷かれていない事を今回不思議に思いました。こまめに保存管理を行なって行く事で、大きなダメージの発生を事前に防ぐ事が出来る訳ですから。確かに、イタリアの様に作品の数が多過ぎる国では、その全てを把握して行く事は難しいのかもしれませんが、何とか近い将来…この作品管理体制が整いひとつのスタイルとして認められる日が来る事を強く望みます。
by affresco-bastioni
| 2010-10-10 13:00
| 修復家の独り言
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