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私が2004年に携わったフレスコ画の修復にアンジェロ・ミケーレ・コロンナとアゴスティーノ・メテッリ (ANGELO MICHELE COLONNA e AGOSTINO METELLI) によって制作された『イカロスの洞窟』(Grotta di Icaro) というタイトルの作品があります。フィレンツェのポルタ・プラートから直ぐのオルティ・オリチェッラーリ邸 (Palazzo degli Orti Oricellari) の敷地内に描かれた1600年代の作品で、ビアンコ・ディ・カルチェの技法が使われています。 私が修復を行なっていた頃は、現場を監督していた建築家の方から、「後々は高級アパートとしてリフォームを考えている」と聞かされていたのですが、「こんなに歴史的にも古い作品が描かれた部屋を改築してアパート化する事なんて可能なのだろうか?」と不思議に思っていました。あれから3年、すっかりそんな事も忘れかけていたのですが、先日その建築家の方から連絡があり、「建築関係の雑誌で紹介されたよ」と、聞かされました。急いで当時一緒に修復作業を行なっていた同僚とその雑誌を手に入れ見てみると…確かに。私達が修復した作品が載っているではありませんか!しかも、非常に斬新な部屋の装飾の一部として生まれ変わって…。「本当にアパートになったんだ…」と、複雑な思いでページをめくっていたのですが、そこに写っていた天井壁画真下に位置するお風呂に目が釘付けになりました。ベッドの真横に隣接した浴槽も気になったのですが、それ以上に「このお風呂から立ち込める蒸気は大丈夫なのかな?」と、心配になったのです。と、言うのもフレスコ画の大敵は何といっても湿度!しかもこの作品は修復していた当時を思い返すと、屋根の壊れた箇所から染み込んだ雨水によって多大なダメージを受けていたのです。(修復作業の大半が、過剰な湿度によってもたらされたダメージだったのです)雑誌に書かれた記事を読んでいると、『もちろん湿度には気を遣い、完璧なシステムを導入してあります』と書かれていましたが…とても不安になり、「これはまた数年経ったら修復しないといけないんじゃないだろうか…」と、考え込んでしまいました。基本的に修復家は手掛けた作品に対し、「これから少しでも長く良い状態を保ってもらいたい」という強い願いを抱くものですが、この状況だとそれも強く望むことは不可能なようです。ちなみに、現在このアパートにはアメリカ人の方が住んでおられるとか…。フレスコ画に囲まれて毎晩いったいどんな夢を観ておられるのでしょうね。 使い勝手よりも斬新さを表に出した建築デザインが増えつつあるイタリア…。「もう少し色々な面に対して配慮があってもいいのでは…?」と、考えさせられる今日この頃です。
by affresco-bastioni
| 2007-10-12 02:40
| 修復家の独り言
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