カテゴリ
以前の記事
2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 10月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 08月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 リンク
ライフログ
最新のトラックバック
検索
ブログパーツ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
以前ご紹介した記事『小さな街アッシャーノのフレスコ画』。2月から3月にかけ再び現地を訪れ、現在進行中である保存修復作業の微調整と今後の方針打ち合わせ。そして、地元中高生を対象とした特別講義を実施しました。 前回の作業から約5ヶ月が経過しましたが、特に大きな問題点は確認されず、個人的に一番懸念していた大きな亀裂の処置箇所も安定していました。壁画における亀裂箇所は、長年に渡り外気に触れていたものを修復によって閉じることで作品状態を大きく変化させてしまうことになります。それにより、壁が呼吸を繰り返す中で思わぬ染みが発生したり、周辺部分に亀裂が生じたりすることがあるのです。今回、広い部分では亀裂幅が2~3cmありましたから、作品状態の変化は大きくなるといえます。この様な理由から、私の不安材料のひとつとなっていたのでした。良好な経過状況が確認できたことを受け、当初の予定通り今年の夏には彩色層の全体的な補強と補彩作業を中心に作業を行う予定です。 今回の滞在の主な目的は、先にも書いた様に地元中高生を対象に行う特別講義にありました。現実的なお話として文化財というものは、現在の様に保存修復事業が動いている間は何かと注目されますが、ひとたび終焉を迎えると注目度は一気に下がり、見向きされなくなってしまう事が多いといえます。それは、専門家の目が行き届かなくなる事でもあり、早期に適切な処置を行えば回避できる問題点を見落としてしまう事にも繋がってしまいます。 そこで重要となってくるのが、身近に暮らす人々による作品管理です。「作品管理」というと大仰に聞こえるかもしれませんが、この場合それは作品に対して関心を持つことと言いかえる事ができます。例えば、専門家でなくとも身の回りにある文化財に関心をもつことで意識がそこに向かい、何か異変が起これば気付く可能性が高まります。今回の講義では、「壁画はどのようにして描かれているのか」また、「現在行っている保存修復とはどういったものか」、「何を目的としているのか」をテーマにお話させていただきました。学生達は興味深く講義に参加してくれて、最後に設けていた質疑応答にも積極的に参加してくれていました。 数十人程度が参加した小さな講義ではありましたが、こうした取り組みが少しずつ広がり、大きな効果をもたらしてくれるのではないかと期待しています。これは、特定の地域に限られたものではなく、全世界の文化財を所有する全ての地域に共通していえることではないでしょうか。文化や宗教の違いから様々な捉え方がなされる文化財。その価値や重要性を適切に理解し、同じ意識を持って対峙してゆくことができれば、今以上に良好な保存環境が確立されてゆくのではないかと考えます。
by affresco-bastioni
| 2015-04-20 20:00
| 修復家の独り言
|
ファン申請 |
||