カテゴリ
以前の記事
2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 10月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 08月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 リンク
ライフログ
最新のトラックバック
検索
ブログパーツ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ピエロ・デッラ・フランチェスカというルネサンス期を代表する画家をご存知ですか?アレッツォの街に建つサン・フランチェスコ教会のバッチ礼拝堂壁面に描かれた彼の代表作「聖十字架伝説」(1452~1466年頃制作)は世界的にも有名です。数学や幾何学の研究にも熱心であったことから、彼の作品には巧みな遠近法や計算された空間表現がみられます。また、フラ・アンジェリコやドメニコ・ヴェネツィアーノといった画家からの影響を受け、透明感を持つ明るい色彩表現がなされていることも彼の特徴のひとつと言えるかもしれません。 そんなピエロ・デッラ・フランチェスカのもうひとつの代表作『キリストの復活』が修復されることとなりました。この壁画作品は彼の生まれ故郷でもあるサンセポルクロの街の市立美術館に描かれています。フレスコ画技法とセッコ画法の混合技法で描かれており、今日に至る約5世紀もの間、本格的な保存修復がなされたことはありませんでした。しかし今回、この作品の表面に白く不透明な染みのようなものが確認され、彩色層や漆喰層に剥離箇所が確認されたことから本格的な保存修復が行われることとなりました。もちろん、こうした傷みはここ最近になり突発的に現れたものではなく、以前からも修復の必要性が囁かれていたのですが、費用面での問題もありなかなか実現にまでは結び付いていませんでした。そんな時、スイス在住のアルド・オスティ氏(83歳)より日本円で3千万近い寄付が寄せられることとなったのです。オスティ氏はピエロ・デッラ・フランチェスカのこの素晴らしい作品を未来の人々にも伝えたいという強い想いから今回の決断に至ったそうです。 また、この保存修復事業決定の際に開かれた記者会見では、サンセポルクロの市長ダニエラ・フルッラーニ氏より、「ピエロは第二次世界大戦中に、空襲からサンセポルクロの街を救ってくれた。今回は、私達がその恩返しをする時である」とのコメントがありました。それは、大戦中にサンセポルクロ空爆を計画指揮していたイギリス軍のキャプテン、トニー・クラークが、作家オルダス・ハクスリーが自身の著書の中で、“ピエロ・デッラ・フランチェスカの描いたキリストの復活は、世界で最も美しい絵画である”と記していたことを記憶していたことから中止の命令を下したというエピソードに由来します。 今日に至るまで、様々な人の心を鷲掴みにしてきたピエロ・デッラ・フランチェスカの代表作。保存修復はフィレンツェ国立修復研究所とアレッツォ美術監督局により、約1年半の計画で進められていますが、作業中にもその様子を訪れる人々が見学できる形がとられています。サンセポルクロへはアレッツォからバスで1時間の距離。イタリアを訪れられる際には是非、このトスカーナ州にひっそりと佇む小さな街を訪れてみてはいかがでしょうか。
by affresco-bastioni
| 2014-11-25 21:00
| 修復家の独り言
|
ファン申請 |
||