カテゴリ
以前の記事
2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 10月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 08月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 リンク
ライフログ
最新のトラックバック
検索
ブログパーツ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
近年において修復士達を悩ませている現代美術作品。伝統的な技法に沿って制作されるいわゆる「古典技法」からは大きくかけ離れ、20世紀に入ってからは様々な技法を複雑に織り交ぜた作品が制作されるようになりました。日本画の展覧会などを鑑賞していても、隣りに居合わせたご婦人方が交わす「この作品、油彩画みたいで日本画じゃないみたい」なんて会話を耳にすることも、最近では珍しくなくなったような気がします。それは、より個性的でより独創的な表現方法を追求するがゆえに、生まれるべくして生まれた自然な流れだったのかもしれません。 イタリアのトリノで1960年代後半に起こった芸術運動『アルテ・ポベラ』“Arte Povera”は、素材の物質性に注目し、様々な素材同士の結び付き、環境との結び付きを通して表現しようとする運動でした。そんなアルテ・ポベラを代表する芸術家にアリギエロ・ボエッティという作家がいます。彼は、戦後の工業生産社会の背景に反発を示し、使い捨て素材などを使って制作した作品を発表しました。キャンパスに紙や布を接着剤で張り付けたコラージュ様式の表現が多かったボエッティ。しかし、そんな彼の作品は、約50年が経過した今、修復の時を迎えています。しかし、様々な素材が取り入れられた作品を修復するのは、容易なことではありません。伝統的な技法に沿った作品であれば、使用されている材料が限定されますから、修復技法に関しても伝統的な方法が適用できます。しかし、材料が複数ともなればそういう訳にも行きません。 そんな現代の修復士達の悩みの種ともいえる現代美術作品を適切な形で修復すべく、イタリアでは初となる団体が、私の所属する文化協会バスティオーニの中に誕生しました。その構想とは、一つの分野に限らず、様々な分野の修復士が一つ一つの現代美術作品修復に協力しながら取り組んでゆこうとするもの。その内訳は、油彩画、紙、木材、陶器、ガラス、壁画、金属、合成樹脂など多岐に及び、それぞれの分野に特化した保存科学や診断学、生物化学や美術史の専門家もきっちりとバックを固めています。確かに、全ての領域をカバーできる保存修復の専門家がひとつの組織内に集結していれば、ありとあらゆる現代美術作品の修復に対応することが可能となります。 今後、どんどん増え続ける傾向にある現代美術作品。作家の方々に、将来的な保存修復を見据えた素材選びや制作を要求することは、現実問題として難しいといえます。であるからこそ、作品の保存修復には柔軟に対応できなくてはなりません。多岐にわたる分野の専門家が常に揃っている環境。20世紀以降に制作された作品達と向き合ってゆくためには、適切な対処法といえるのかもしれません。 ◉お知らせ 1月26日〜2月15日までの21日間、朝日新聞奈良版 『人生あおによし』 のコーナーにて連載させていただいております。奈良版ですので、奈良県以外の方には読んでいただくことができませんが、朝日新聞デジタルの方でも閲覧可能ですので、是非ご覧下さい。
by affresco-bastioni
| 2014-02-01 09:00
| 修復家の独り言
|
ファン申請 |
||