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ようやく、蒸留水インパッコ法を用いた洗浄作業が終わりました。壁面上を覆っていたろうそくの煤や汚れが取り除かれ、溶剤を使った洗浄作業に入る前の現段階でも、かなり作品が鑑賞できる状態になりました。 現在は溶剤を使っての洗浄作業テストを行っています。しかし、このフレスコ画作品はジョルナータによって作品自体のコンディションも、使われている技法も異なることから、作品全体を通して同じ技法での洗浄作業が行えないことが分かりました。もともと油絵を得意としていたアッローリは、フレスコ画を始めて間もない頃に描いたこの作品にも部分的にバインダーを混ぜていたのです。言わば、混合技法フレスコ画作品といえるでしょう。主にバインダーを使用して描かれていた顔料として黒などがあげられます。これは、フレスコ画という技法が、イントナコを施し描画した後、乾燥とともに色彩明度が上がることが原因だと考えられます。 作品上、明暗というのはボリューム感を出すためにも重要です。にもかかわらず、フレスコ画という技法は消石灰を使用することからブオン・フレスコ法においても、メッツォ・フレスコ法ほどではないにしても、顔料に白色顔料を混ぜていることと同じになりますから、イントナコの乾燥後、描画時の色彩とは大きな変色を起こしてしまうのです。これは、ある程度経験を積むことによって計算できるようになるのですが、黒色など明度・彩度の低い顔料の変色に関しては、どうすることもできません。ですから、多くの作家はイントナコ乾燥後セッコ法を用いて加筆を行い、作品にボリューム感を与える調整を行っていたのです。この作業はフィニトゥーラ・ア・セッコと呼ばれます。 アローニはこうした理由以外にも、セッコ法を用いて描画しているジョルナータがあちらこちらに見受けられます。それらの部分は、既にフレスコ画技法で描かれた部分に比べると損傷が激しく、過去の修復によっても加筆修正が行われています。オリジナルを尊重し、これ以上ダメージを進行させないためにも、慎重な修復介入方法が要求されます。 セッコ法によって描かれ、剥離が進み大きなダメージを受けています 今日、イタリアはキリストの復活祭「パスクア」-Pasqua-です。この時期、学校や仕事は休暇となりイタリア人は家族・友人と小旅行をしたりしてバカンス気分を楽しみます。日本でいうとゴールデンウィークのようなものでしょうか。修復学校の学生たちも3週間という長いバカンスに入りました。(これは長過ぎます!)また、私自身も私用で一時的に日本へ帰国しなくてはなりません。しばらく修復現場レポートは書けませんがご了承ください。
by affresco-bastioni
| 2006-04-16 10:50
| 修復家の独り言
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