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皆様、暑中お見舞い申し上げます。 今から丁度1年程前に御紹介させていただいたお屋敷(Villa Tolomei)の修復。("猛暑でも楽しい壁画修復?"、"生まれ変わるお屋敷と、壁画修復におけるチームワーク")現在も引き続き作業は続いています。私は昨年の秋頃から別の修復現場の仕事に携わっていたのですが、6月より再びこのお屋敷に戻ってきました。今回も研修生を含む6名で作業に当たり、順調に行けば9月末には現時点で予定されている作業行程を終える事ができるのではないかと予想しています。 行く行くはホテルとして生まれ変わるこのお屋敷。修復作業も「保存修復」というよりは「復元修復」に近い形で作業が進められています。復元修復とは、壁画の汚れを除去したり、ダメージ部分の補強作業を行う事に関しては保存修復行程とほぼ同じなのですが、最終段階における補彩作業が大きく異なります。欠損部分や描画層に大きなダメージが見受けられる場合、その部分を完全に復元してしまうのです。イタリアではこういった修復では、補彩作業の段階でデコレーションを専門とする職人さんを呼ぶ事が多いのですが、この現場では修復家がその作業に当たっています。壁画修復理論に大きく反するこの作業(欠損、ダメージ箇所において、どの様な描画がなされていたか予測出来ない場合、新たに手を加えてはならない)、無名な作家が描いた装飾デコレーション壁画においてはよく取られる方針です。作品としての歴史的価値が低い場合、今後その環境がどの様に使われるのかを優先的に考慮し、『見た目』を重要視する。保存修復家としては非常に複雑な心境で作業に当たる事となります。修復学校を卒業して間もなく研修に来ていた子はこの現実に、落胆の溜め息を漏らしていました。常に教会等に描かれている名画ばかりを修復できれば良いのですが、時にこうした現場とも向き合わなくてはならない現実を理解してもらえればと思います。 ![]() ![]() このお屋敷に描かれた作品の多くは1700年代のものなのですが、唯一1500年代に描かれたものがあります。白く塗り潰されていた壁の中より発見されたこちらもデコレーションに変わりは無いのですが、漆喰層の質感など1500年代独特のものがあり作業に当たっていても楽しかったです。 ![]() さてさて、このお屋敷、最終的にはどの様に生まれ変わるのでしょうか。。。全ての環境が整えられるまでにはまだ1年以上の時間が必要とされています。(現時点で3年が経過)ホテルがオープンする際には是非訪れてみたいと思います。
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