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今年に入ってからも遠く日本よりフレスコ画講習を受けに来て下さった方達がいます。普段は高校で美術の先生をなさっている方や、職人の世界に興味を持たれ事がきっかけで受講を決意なさった方など…みなさん一生懸命作業に取り組んで下さい、初心者とは思えないフレスコ画作品を描きあげておられました。古典技法に従い昔ながらの行程で下地作りから始め、描画日には朝から晩まで慣れない技材と格闘しておられる姿には、講習させていただいている私もついつい力が入ってしまう程でした。「今までに多くのフレスコ画は観て来たけれど、実際にこの不思議な技法を体験してまた興味が深まった」と、言って下さる方が多く、長年フレスコ画に携わってきた私にとっては本当に嬉しい言葉でした。確かに、口で説明させていただいてもパッとしないフレスコ画技法。普通に考えれば水で溶いただけの顔料で描いたものが化学反応によって形成される無色透明の層でコーティングされるなんて理解し難いですよね。描画していただいた翌日、徐々にフレスコ画現象(炭酸塩化現象)が定着し出した表面を観察し「なるほどねぇ〜」と関心されている様子に、かつて自分も同じ様に感動したあの瞬間を思い出していました。みなさん、これをきっかけに是非またフレスコ画を制作していただければと思います。 過去にこちらのブログでも何度か御紹介させていただいた1500年代制作のタベルナーコロ("猛暑でも楽しい壁画修復?" 、"流れる時の中で失われたもの。。。"、"甦ったタベルナーコロ")ですが、4月9日に修復終了記念式典が行なわれました。この仕事を依頼して下さった神父さんをはじめ地元の多くの方々が参加して下さって、美しく甦った作品をとても喜んで下さいました。作品前面には保護硝子が取り付けられ、これでまたしばらくの間は地元の人々に見守られながら輝き続けてくれるのではないかと思います。修復作業中にお世話になった方々、本当にありがとうございました。
by affresco-bastioni
| 2011-04-25 20:00
| 修復家の独り言
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