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今回は修復課程の中でも最終段階、補色作業についてお話します。現在サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の現場では、去年に洗浄作業が終わった天井部分と、現在洗浄作業進行中の側壁を平行して作業していますので、ここで紹介する内容が修復作業手順としてバラバラになってしまいますが、お許しください。(将来的には整理したものを何らかの形で御覧いただけるように務めます) フレスコ画の補色作業には、そのコンディションによっていくつかの方法が使い分けられますが、今回は現在フィレンツェで一番よく使われている技法を取り上げたいと思います。 大きな剥落症状(イタリア語で"アブラズィオーネ"と呼ばれます)が多くみられるフレスコ画では、基本的に補色作業では欠落部分に適度なトーンの色を施し、 鑑賞する時に目立たなくさせる手法がとられます。数年前までは完全にオリジナルの色を再現し、修復箇所を認識できないようにするヴェラトゥーラという技法や(この技法は未来の修復時に混乱を来すということと、作品の歩んできた時間の経過を感じさせなくなるという問題があります)、ストゥッコを施した場所にはセレツィオーネと呼ばれる純粋色のみを使った細いラインを引いて、視覚的に欠落部分周辺の色彩を表現する手法がとられていました。しかし、今日では先に述べたような作品鑑賞の妨げとならないようにするための、適度なトーンの色を施すことが多くなりました。この技法を"ネウトロ・センシビリッザート"と呼びます。 "敏感にされた中間色"と直訳するとおかしな言葉になりますが、要するに中間色に暖色・寒色の要素も盛り込んで、作品鑑賞に支障をきたさないような画面構成をおこなう技法をいいます。下の写真を御覧いただくと分かっていただけると思いますが、左の写真で白く見える部分がアブラズィオーネ。その部分に補色作業を行ったあとの写真が右です。一見、同じ色で欠落部分に色が施されているように見えませんか?しかし、実際にはそれぞれの場所に微妙に異なる色が施されているのです。この補色技法は数ある技法の中でも一番むずかしいと言われています。感覚を研ぎすまし、経験を積むことが必要といえるでしょう。私もネウトロ・センシビリッザートを行う日はクタクタになります。この日も写真部分の作業を終え家に帰ると直ぐにダウンしてしまいました。(笑) このように、イタリアではあくまで"人に鑑賞されるための壁画"という前提のもと作業が行われます。もちろん、オリジナルの作品を尊重するために負担をかけず、修復箇所を識別する手段を使って…。過去の美術作品は人類の宝といっても過言ではありません。一人でも多くの人に鑑賞してもらえるような環境を考慮していくことも、わたしたち修復家の大切な仕事といえるのではないでしょうか?
by affresco-bastioni
| 2006-04-02 17:30
| 修復家の独り言
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