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2010年7月01日の記事、"猛暑でも楽しい壁画修復?" 9月13日の記事、"流れる時の中で失われたもの。。。" で御紹介させていただいた1500年代制作『タベルナーコロ』 "Tabernacolo" の修復。テラコッタの欠損部分の修復を経て、本日最後の補修・補彩作業も無事終わりました。長い期間、危険な状態で放置されていたこのタベルナーコロも、これでまた地元の人々の愛情を受けながら大切に守られていくのではないかと思います。 初めてこのタベルナーコロを観た時、その余りに酷いコンディションに驚かされた事をよく覚えています。過去の修復に加え、作品が設置されている建物の改修工事などの際手が加えられた箇所には、それが原因となり発生したと思われる問題が多く見受けられました。劣化、亀裂、剥離、塩素などなど。。。それらをひとつひとつ解決していく中では様々な発見もあり、加筆やセメントにより隠されていたオリジナルのイントナコ層も良い状態で取り出す事ができました。修復作業後半では、テラコッタの修復介入方法について話し合いが重ねられ、オリジナル部分と修復部分の判別が容易な形での復元が選択されました。これによりタベルナーコロが制作された当初持っていたであろうバランス感を取り戻す事ができました。 来年1月には、作品を保護するための強化硝子と、照明設備が設置される予定です。真夏の照りつける日差しの中始まったこの修復も、かじかむ手を暖めながら作業する真冬へ季節を移し終わりを迎えました。仕事を通じて多くの人々との交流も生まれ、思い出深い壁画修復の記録がまたひとつ増えました。今年はこれで仕事納め。来年はどんな壁画との出会いがあるのか…今からとても楽しみです。
by affresco-bastioni
| 2010-12-30 18:00
| 修復家の独り言
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