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2010年7月01日の記事、"猛暑でも楽しい壁画修復?" で御紹介した1500年代のタベルナーコロ "Tabernacolo" の修復が一段落つきました。『一段落』と書いたのは、壁画部分の修復が終了したという事で、テラコッタ像の修復はこれからになります。今朝もテラコッタ修復の専門家と引き継ぎの打ち合わせをしながら、最終的な仕上げの方向性について話し合いをしました。やはりこのタベルナーコロのメインは中心に並ぶ3体のテラコッタ像。良い形で修復が進み、また人々から愛される作品へと生まれ変わって欲しいと願います。 壁画部分の修復ですが、前回お伝えした通り表面を覆っていた加筆の青色顔料を除去して現れたオリジナル描画層を復活させる事をメインに作業を進めました。所々壁画を覆っていたセメントを慎重に除去しながら、老朽化の激しい漆喰層内部に注射器で補強剤を打ち込む作業を繰り返し、欠損部分には新たに化粧漆喰を施す。それらの行程が全て終わってからは補色作業に入ったのですが、美術監督局の要望で人物以外の復元可能な部分は復元する方向で作業を進めました。テラコッタ像の背景には赤いカーテンが描かれ、上部には夕暮れの時の空模様。私がこのタベルナーコロに初めて訪れた時に観たものとは全く別なものとなりました。「500年という時間の経過の中、様々な人の手によってオリジナル性が歪められてきたのだな。。。」と、改めて考えさせられました。 私の作業最終日となった今日、このタベルナーコロを長年見守り続けて来た教会の神父さんが来られました。酷い状態で放置されていた作品が綺麗になった事を素直に喜んで下さり、右手をそっと私の頬に当てながら優しく微笑んで下さったのでした。
by affresco-bastioni
| 2010-09-13 18:00
| 修復家の独り言
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