カテゴリ
以前の記事
2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 10月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 08月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 リンク
ライフログ
最新のトラックバック
検索
ブログパーツ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
以前、"2009年11月16日の記事 壁画修復家にとっての喜びの瞬間…!!" でご紹介した、サン・フェリーチェ・イン・ピアッツァ教会 "Chiesa di San Felice in Piazza" にあるジョバンニ・ダ・サン・ジョバンニ "Giovanni da San Giovanni" とヴォルテッラーノ "Volterrano" の合作フレスコ画の修復。その修復が終わった後、引き続きウイア美術修復学校 "Universita' Internazionale dell'Arte" 壁画修復コース2年生の授業の一環として、今度は同教会内に描かれているニッコロ・ディ・ピエトロ・ジェリーニ "Niccolo' di Pietro Gerini" (1368〜1415年)作フレスコ画 『ピエタ』 "La Pieta" の修復が行なわれました。 ニッコロ・ディ・ピエトロ・ジェリーニはフィレンツェを中心に活躍したジョット派の画家で、そのスタイルはジョットの作品にとてもよく似ています。ルネサンス文化が開花して行った発展過程に生きた彼は、当時定着していたと言っても過言ではないジョットのスタイルから抜け出す為に、もがき苦しんだ画家の一人だと言えるかもしれません。 サン・フェリーチェ・イン・ピアッツァ教会ですが、建立されてから今日まで幾度となく改築が繰り返されてきたという記録が残っています。その中には、このフレスコ画に関する事も記載されているのですが、作品が描かれた当時は現在の場所には無かったという事が分かります。1600年代に新たな祭壇が造られる事になった時、フレスコ画を壁ごと切り取って移動させるマッセッロという技法を用い現在の場所に移動させられたのです。その痕跡は間近でフレスコ画を見てみると、はっきりと確認する事ができました。 今回の修復では、漠然と表面の汚れを除去する事以外にも注意しなくてはならない点がありました。それは、過去の修復において加筆された顔料の除去や、オリジナル層を覆う様に施されていた欠損部分補修用化粧漆喰の除去など、年代ごとに手を加えられ複雑化していたフレスコ画を取り巻く環境を整理して行く事です。ここで判断ミスが生じると、時を経て現代に伝えられる貴重な過去の情報を拭い去ってしまう事にもなり兼ねません。漆喰層の質や描画スタイル(筆の使い方や色の重ね方など)、使用されている顔料の種類から年代を割り出し、正確な修復介入を行なう事も壁画修復家にとって大切な技術だと言えます。 それでは、修復前と修復後の写真から、美しく甦ったフレスコ画を御紹介します。1枚目と2枚目の写真は上下繋がるべきものなのですが、写真撮影時、間に足場があった為この様な形になってしまいました。御了承ください。 今回の修復で、壁画修復コース2年生にとっては最後の現場実地授業となりました。私は今回のフレスコ画修復には指導教員として携わっていなかったのですが、修復の仕上がりを見て、僅か短期間で技術的に大きく進歩した学生達に驚かされました。これからはこの2年間で学んだ事を生かし、今後の修復家としての活動に役立ててもらえたら…そう強く願います。またいつか、何処かの壁画修復現場で一緒に仕事ができる事を祈っています!
by affresco-bastioni
| 2010-06-07 20:00
| 修復家の独り言
|
ファン申請 |
||